中塚一宏の「いっこうで行こう！」

復興財源、消費税、その他

決まったのか決まってないのか、よく分からない「税と社会保障の一体改革」。他方で、今週には二次補正予算案が国会に提出される見込みですが、成立すればすぐに三次補正予算の編成となって、その際には復興財源の議論も本格化することになります。

民主党政権ではない、自公政権下で決めた消費税引き上げスケジュールを、未曾有の大震災の復興財源に先行させて議論する理由がよく分からない。１６兆円超ともいわれる復興経費を、どのように調達するのか、そちらの方を優先させるべきだし、震災で消費税の議論はますます遠退いた、と考えるのが自然です。

政治状況も釈然としない中、なし崩しで物事を決めるとなると、党内の反発は必至。まずは体制を一新した上で、政治運営の協力体制の枠組みを模索して、その上で課題をこなすべきです。

危機なればこそ

大化の改新（６４５年）の背景には、緊迫した北東アジア情勢があったと言われています。明治維新は言うに及ばず、国家の危機だからこそ、政治体制を代えようという力が働くのです。

もちろん、そうではないケースもあるにはある。しかし危機に対応するために政治体制の変革が行われることは、過去の歴史にも往々にして見られます。

「国家的危機に何をやっている」というご意見を否定するつもりはありません。でも対応できなければ代えるのは当然のこと。体制を代えることによって危機を乗り越えることができた例はいくらもあります。

放射性物質に汚染されたガレキの処理

東日本大震災のガレキ処理のための特例法案が閣議決定。被災自治体の要請に応じて、国が直接ガレキを処理できるようにするもの。

今ひとつ必要なのは、放射性物質に汚染されたガレキをどのように処分するのかという法律。現行法では、大気汚染防止法や土壌汚染対策法、廃棄物処理法など環境関連法が有害物質の排出などを規制しているが、放射性物質は対象外となっています。

総理もひじょうに関心を持っているとのことですが、最も重要なことは、放射性物質に汚染されたガレキを、どこに持って行くかということ。内々検討を始めてはいますが、最終決断は総理ご自身にしていただかないと。

論理的・合理的に、謙虚な努力を ～ 京都大学で講演しました。

先週の慶應義塾大学に続いて京都大学大学院で講演。若い若いと思っていたら自分ももう４６歳。大学で学んだのは２０年以上前のことになりました。かつて自分が学んだ教室でお話しするのは面映い。

明日の日本を背負うことになる学生さんに、私の感じる日本社会の問題点をお話しました。

学生さんは工学部の皆さん。今の日本、理科系の人がもっと頑張らないと。科学技術立国という割には、理科系の人が優遇されない。しかしそれには理科系の人間にも原因があって、自分の専門以外のことにも幅広く興味を持たねばなりません。

バブル以降、日本には根拠のない自信が蔓延しているように思う。原発事故がその際たるものです。もっと物事を論理的、合理的に捉えて、謙虚に努力を積み重ねてゆくこと。技術者だけではなく、経営者も、もちろん政治家も。

「仮想敵」政治

安全宣言の後で、原発にストレステスト。ちぐはぐなんてもんじゃない。今から１０日ほど前、総理と話した時に、総理は経済産業省にかなりの不信感を持っているようでした。そういったことが背景にあるのかもしれませんが、それにしても経済産業大臣も、経済産業省も、総理の部下のはず。

総理は常に敵を造って進んでゆくタイプの政治家。身内でもかまわず敵に仕立て上げる。今回の「敵」は、経済産業省ということか。

しかしもっと問題なのは、原子力発電の今後、日本のエネルギー政策の今後について、そのビジョンを示していないということ。

再生可能エネルギーをさかんに言いながら、日本の原子力発電をどうするのか、やめるのか増やすのか、やめるとしたらそれまでの間のエネルギーをどのようにまかなうのか。これが明らかにならないと、ストレステストも意味がないと思う。

悔恨 「未熟という言葉は何の言い訳にもならない」けれどあえて

混乱し迷走を続ける民主党政権。ご期待をいただいた皆さんには本当に申し訳ない限りです。

思い起こせばちょうど一年前。参議院選挙で敗北。参議院選挙は政権選択選挙ではないものの、国政選挙であることには変わりない。さらに日本のように二院制で、ほとんど同等の権限を持っている参議院選で敗北したということは、与党の政策実現は思うに任せず、国政は機能不全に陥るということです。

近年、参議院選挙で敗北して、辞めなかった総理はいない。１９８９年の宇野総理、１９９８年の橋本総理、そして２００７年の安倍総理。辞めて初めて新しい与野党の協力体制ができたり、連立の枠組み交渉が始まったりしています。やはり選挙で戦った党の代表がそのままでは握手できないのは、野党とすれば当然と思う。

総理をコロコロ変えてよいなどと思っているわけではありません。しかし国政を停滞させないためにどうすればよいか、ということは、自ずと判断がつくことです。自主的に判断されるだろうと考えていたのが、いまとなっては本当に甘かったと思う。

「消費税と社会保障 小沢試案」と題して講演しました。

決まったのか決まってないのかよく分からない税と社会保障の一体改革。しかし大切なのはあくまで中身。そこで原点に立ち返るために消費税と社会保障について、一新会で講演。

小沢一郎氏と２０余年。小沢氏は一貫して変わってない。私自身も、消費税の福祉目的税化がベストだと信じて疑わない。講演後、「私の後援会でも講演して」と同僚・後輩から依頼が。もちろんよろこんで。

新進党、自由党と、看板政策だった消費税の福祉目的税化。もちろん民・由合併もその政策合意があったからこそ。

その意味で今の民主党は、民由合併当時とも、政権交代当時とも違う。原点に立ち返るため、これからも多くの人にお話をしたいと思います。

マスコミがあまり報じない「調書不採用」

腰痛を我慢できなくなって、整形外科へ。薬をもらいコルセットをつける。「原因は菅さんですね」と笑うお医者さん。

党の原発対策ＰＴに対して、総理官邸から放射能に汚染されたガレキの処理について、政策立案の発注があったとのこと。中身自体は以前から議論しているものの、話題は「総理はいつ辞めるのか？」に集中。

法曹関係者、検事経験者、判事経験者から次々と「小沢さんこれで無罪確実だね」との連絡が入る。それほど７月２日に書いた「「陸山会」裁判で調書一部不採用」」の事実は重い。残念なのは、そのことがマスコミ等であまり報じられないこと。

法廷でも当然の決着がつくでしょうが、もったいないのは時間。そもそも検察が不起訴にした案件を、証拠能力のない調書をもとに、検察審査会は起訴をした。この上、さらにムダな時間を費やすことになるのは何ともやりきれません。

東電の責任、国の責任

先週の週中、株主総会の終わった東京電力本店を訪問。新社長は被災地へ出かけていたのでお会いできませんでしたが、その他の新役員陣と懇談。

私から福島第一原発の冷温停止の次のステップ、すなわち原子炉から燃料を取り出すのに何年かかるのかという点と、賠償を行う場合の経営のあり方について質問。

今回の福島第一原発事故に対する東京電力の対応が、かならずしも満足できるものではないというのは衆目の一致するところ。しかし考えてみると、原発を推進してきたのは国。発電の燃料がなんであろうと、電気料金は総括原価方式で決めてきたのだから、燃料のコストに応じて電気料金に反映されるだけのこと。

その意味においても、今回の福島第一原発事故対応には、国がもっと前面に出なければ。そして補償にも。

「陸山会」裁判で調書一部不採用

小沢一郎氏の政治資金管理団体「陸山会」の裁判、三人の元秘書が被告となっていますが、その裁判で、検察の調書の一部が証拠として採用されないとのこと。裁判所の判断です。

調書には任意性がない、というのが理由のようで、かねて問題となっている検察の取り調べのあり方が問題になったもの。採用されなかった調書の中には、「小沢元代表に政治資金収支報告書の虚偽記載を報告、了承を受けた」とする石川被告らの調書が含まれているらしい。

ということは、小沢一郎氏自身の裁判にも大きな影響を与えることになる。というのも、小沢氏は、これらの調書を前提として、検察審査会の議決により、起訴されることとなったのだから。

もちろん、裁判は別に行われるのですが、小沢氏が検察審査会により起訴される前提となった調書の信頼性が揺らいでいるのですから、小沢氏の無罪の可能性がより高まった、というか、起訴したこと自体の妥当性も問われることに、必然的になると思う。