中塚一宏の「いっこうで行こう！」

「三通の手紙」

混迷を続ける世界の政治。以前海外出張に行った時に、某国の大臣からこんなジョークを聞きました。

「辞めてゆく総理が新総理に、三通の手紙を渡した。『行き詰まったら、一つ目の手紙を開けなさい。次に行き詰まったら二つ目を、三度目には三つ目の手紙を開けなさい。きっと役に立つ』。

新政権は、はじめは順風満帆。でもだんだんと人気に陰りが出てくる。総理は一つ目の手紙を開けた。

『前政権が悪いと言え』。総理はそのとおり前政権に責任を押しつけて政権を立て直した。

しばらくして、またまた政局が緊迫してきた。二つ目の手紙を開けた。

『悪いのは国会だと言って切り抜けろ』。そのとおりにしてなんとか乗り切った。

三度目の難局にぶつかって、総理は三つ目の手紙を開けた。今回も乗り切れると思ったらそこにはこう書かれていた。

『君も同じように三通の手紙を書いて、次の総理に渡しなさい』。」

世界各国、政治家の悩みは共通のようで。

イージーマネーポリシー

金融緩和政策のことを、「Easy money policy」（イージーマネーポリシー）と言う。

「イージー」には「簡単な」「安易な」からはじまって「いいかげんな」までいろいろな意味がある。財政出動もその意味においてイージーな政策。

イージーな政策がダメだと言うつもりはないけれど、易きに流れず政治に携わってきた立場からすると、イージーな政策がウケるのを見るのは複雑な心境。

「バブルは、はじけて初めてバブルだったと分かる」２

アラン・グリーンスパン氏は、ＦＲＢ議長として数々の難局を乗り切り、「神様」とか「マエストロ」と呼ばれるようになった人物。一方で、グリーンスパン氏のとった金融緩和政策がアメリカにおける住宅バブルを生み、その崩壊が世界に金融危機をもたらしたとの評価もある。

自身のとった金融緩和政策による株高を「根拠のない熱狂」と言えるということ、そして自らバブルを起こしたのではないか、と批判されても、「バブルは、はじけて初めてバブルだったと分かる」と、言えるということ、きっと後悔でも反省でもないのだろう。確かに「神様」かも。

某信金の経営者と四方山話２

金融機関の経営者が、「貸出先がない」と言っているのを聞くと、きっと「そんなことはない、銀行が貸さないだけだ」と言う方がいらっしゃるに違いない。

金融機関が貸す・貸さないを判断するのは、正に「リスクテイク」そのもの。リスクを背負えるかどうかが、金融の真髄なわけで、そういう意味で日本経済自体がリスクオフになっているということだと思う。

もちろん、リスクをとらずに利益を得られれば一番良いに決まっている。実際、国の政策も金融緩和や公共事業追加など、リスクオフすなわち現在の産業構造を是認するような政策になっている。問題はここにある。

日本の場合、三次産業の競争力をもっと強化するとか、少子化に歯止めをかけるとか、女性の社会進出を促すとか、そういった構造改革こそ必要。

「バブルは、はじけて初めてバブルだったと分かる」

「バブルは、はじけて初めてバブルだったと分かる」。これは第１３代連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長、アラン・グリーンスパン氏の言葉。

同様にアラン・グリーンスパン氏は、クリントン大統領が再選された時に、株価が高騰した際、「根拠なき熱狂」ということも言っている。

「マエストロ」の言葉は重いな、と改めて思う。

平成24年12月25日の記者会見から

民主党が綱領をつくるという。以下平成24年12月25日の記者会見から。

記者「（略）党の再生には、代表選もありますけれども、何が必要かということを改めてお聞かせください。」

私「そうですね、党の再生……。やはり、この民主党の3年3か月間の政権というものを、政策はもちろんですが、それだけに留まることなく、よくよく振り返ってみて、政権交代の意義というのは一体何だったのかということと、それに多くの皆さんから御期待をいただいたということでありますが、その期待にちゃんと応えられたかどうか、応えられていないからこういう結果になっているわけですが、そこからスタートをした上で、国民の皆さんが、今、政治に何を求めているのかということを、しっかりと今一度考え直す必要があるのではないかと、そう思っております。」

某信金の経営者と四方山話

某信用金庫の経営者の方と懇談。

その方曰く「地銀、協同組織金融機関を取り巻く環境はほんとうに変わりました。昔はとにかく預金を集めることが仕事だったのに」と。「かつては預金を集めれば、貸出先はなんぼでもあった。ところが今は預金が集まっても貸出先がない」。

貸出先がないのに預金を集めるということは、売れる見込みのない商品を仕入れているのと同じこと。ここら辺りに日本経済の問題点がある。

硯箱

大臣在任中、閣議において使用していた硯箱をいただきました。

閣議決定書類への署名は、毛筆。それも花押（かおう）。世間の方からすると無味乾燥に思える政治も、こうして歴史と伝統が息づいています。

一方で、閣議自体は、官房副長官が案件名を読み上げると同時に、署名書類が円卓を順に回ってくるというもので、「まるでサイン会」と揶揄する声もありました。

閣議後の閣僚懇談会では、自由な意見交換ができましたが、政治が儀式・形式に流されず、より中身のあるものになることを期待したい。

真の援助とテロ撲滅

アルジェリアでテロによって落命された方々は本当に痛ましい。二度とこのようなことが起きないことを望みたい。

テロや紛争の根本的な原因は、貧困にあると思う。折しも今年は日本・横浜でアフリカ開発会議（TICAD）が開催されます。国として、テロそのものへの対処ももちろん、差別や貧困に苦しむ人たちや国への真の援助は何なのかを考えることが重要。

円安

外国為替市場で１ドル９０円台まで進行。理由はいろいろあると思う。

日本銀行に対する金融緩和期待ももちろんですが、アメリカの「財政の崖」問題のとりあえずの回避、ヨーローパの財政金融問題の一服などなど。各国経済の地合の悪さから、とりあえずの避難先とされてきた日本から、資金が流失していることも原因。日本の貿易赤字もあると思う。

さて今後。資金流出が続けば、日本国債のファイナンスに影響が出ないとも限らない。日本の経済財政運営はナローパス（狭い道）。良い結果が出ることを。