さて、自治体間の財源調整を考える時に、「シビルミニマム」をどのように設定するかが、大きな課題となります。
「シビルミニマム」というのは、生活や福祉等に対する公共サービスの基準をいうわけですが、その基準の設定をどうするか、それが問題になるからです。発展途上段階にある国なら「シビルミニマム」は遥かな目標だろうし、税収が右肩上がりで入ってくるなら「シビルミニマム」そのもの悩むことは無いだろうと思うのですが、今日の我が国のように、成熟し税収の伸びもあまり期待できないような時代、シビルミニマムをどのレベルに設定するかは、たいへんに難しい問題です。
国の立場からすると、日本のどこに住んでも同じレベルの最低限の住民サービスが受けられるようにするべきということになりますが、隣の街と同じシビルミニマムが必要だ、とある自治体が主張すれば、カネはいくらあっても足りなくなる。そして地方分権にはなりません。
大切なことは、自治体ごとに受益と負担の関係を明確にした上で、どのレベルの住民サービスが必要なのか、適当なのか、しっかりと議論をして結論をだしてもらうことです。地方分権が確立してこそ、シビルミニマムも決めることができるのであり、財政赤字も減らすことが可能になるはずです。
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