中塚一宏の「いっこうで行こう！」

一票の格差

臨時特例企業税、成年後見制度と最近の二つの司法判断について思うところを書いていたら、こんどは選挙制度・一票の格差問題で次々と違憲判決・違憲状態判決。さらには無効判決まで出てしまった。

高裁の指摘を待つまでもなく、一票の格差は是正されなければなりません。昨年末、定数是正を行わないまま（法案は通したけれど）解散総選挙になってしまったことは、とても残念。

この問題に対する、国会の前向きな姿勢をしっかり示すべきだと思う。

 

ＮＰＯの認定制度

前政権で取り組んだ「新しい公共」。すこしでもＮＰＯなどの活用がやりやすくなるようにと、認定ＮＰＯについて、その要件を緩和しました。認定ＮＰＯになれば、税制面での優遇措置を活用することができるようになります。またその優遇措置も拡充したりしました。

最近、いろいろなＮＰＯの皆さんとお話しする機会がありますが、ＰＳＴ要件は緩和されたとは言うものの、まだまだハードルが高いというお話をうかがいます。

考えてみると、専従の事務局があるＮＰＯというのも数が少なく、生業を持っている方がほとんど。そういう方からすると、確かにまだハードルが高いかも。思案のしどころです。

地方分権・地域主権

神奈川県の臨時特例企業税に最高裁が違法であり無効であるという判決。県のつくった条例が、地方税法に違反しているからというのが主な理由とか。

県の決める法定外普通税は、地方自治法つまり国の法律に制約されるということ。地方分権・地域主権といってもこの程度。

地方の独自性発揮のためには、まだまだいろいろな課題の克服が必要です。

成年後見制度

数年前のこと、とある大政治家のお嬢さんとのお話し。

その大政治家の方は、高齢で施設に入っておられました。症状からして、成年後見制度を利用することになったとのことですが、そうすると、選挙の時に市役所から送られて来るはずのハガキ（投票整理券）が送られてこなくなったのだそうな。

つまり、選挙権を喪失したということ。これを聞いた時に、釈然としないものがあって、「そりゃ憲法違反でしょう」と言ったことを憶えています。制度が正しい、正しくないということではなく、あれほどの大政治家が選挙に行けない、ということがショックだったのかも知れません。

その成年後見制度による選挙権喪失に対して東京地裁が違憲判決。これを聞いてそんなことを思い出しました。

First Hundred Days

政権は発足して百日ほどが最もパワフル。だからこの間にこそ政権の課題を一気にこなす。アメリカではそう言うらしい。

ＴＰＰ交渉参加へ。政治的にはこのタイミングしかないと思う。参議院選挙を待って、ではきっと決断できないことになる。当然のことです。

日本にとって避けて通れない国際化。国際化を先取りするという意味において、ルールづくりに参加することこそ望ましい。

後は交渉の内容の情報公開が何より。最終的判断までにはまだまだ紆余曲折あると思う。

円安メリット・円高メリット

円安による外需主導の経済。輸出関連企業には何よりの環境です。一方で円安によって輸入物価の値上がりがおこる。

賃金が上がらないままに、物価だけが上昇するようになれば、生活は追いつめられます。実感として景気回復を感じられないまま、経済指標だけは良くなる。今から５、６年前と同じです。

日本経済はいまや大層を個人消費が占める。個人消費が増えることで経済が拡大することが一番の好循環。円安メリットと円高メリット。これらのせめぎ合いがこれからのポイント。

環境問題と経済成長

中国で全国人民代表大会が開幕。国防予算の１０パーセント以上の伸びを報じるニュースを見ていた小六の息子が、「国防予算よりＰＭ２・５をなんとかしてほしい」。

戦後の日本は、軽武装・経済優先路線で経済大国の仲間入りを果たすことができた。もちろん周囲の国際環境がそれを後押しした面も見逃すことはできないし、それによって犠牲になったこともあるけれど、経済成長は事実として評価されるべきだと思う。

一方で環境問題は、一国だけの問題では無くなってきています。経済成長は環境問題に制約される。国際的な取り組みと、隣国の為政者の賢明な判断が求められる。

国会同意人事のあり方

国会同意人事は、衆参両院の同意が必要なので、手続きは予算や条約よりも厳格なものになっています。

国民から直接選ばれた議員によって選ばれる必要があるということは、それだけ重要だということ。日本銀行の総裁・副総裁人事でにわかに注目を集めていますが、賛成する場合でも反対する場合でも、明確な理由が必要なわけで、ならばその責任を果たすため、しっかりと審議をする必要があることは言うまでもありません。

以前と比べれば格段に進歩したとは思うものの、できれば専門性をもった委員会で議論した方がよいと思う。政治は結果がすべてではありますが、選ばれた者の責任はもちろんのこと、選んだ方の責任だってあるのだから。