アメリカが個別的自衛権を行使して、アフガニスタンを攻撃し、それに同調して参加するのは、いかなる行為であっても集団的自衛権の行使に他なりません。現にイギリスだって集団的自衛権行使でアフガニスタン攻撃に参加をしているわけだし、現在アフガニスタン攻撃の主翼を担っているNATO(北大西洋条約機構)にしても、条約加盟国が集団的自衛権によって参加しているのです。
日本は、集団的自衛権を行使しないということになっています。それが現在の日本の憲法解釈です。政府自らが禁じている集団的自衛権の行使を、「武力行使ではない」という理屈で自衛隊を派遣しているわけで、あまりにも論理矛盾・ご都合主義的。武器の使用を限定されながら危険な任務に従事している自衛隊員も気の毒です。先日、官房長官が「9・11同時多発テロでは日本人の犠牲者も出ている」と発言していましたが、日本人犠牲者がいたから自衛隊を派遣するというのは、これは個別的自衛権の行使。個別的自衛権行使で自衛隊が海外に出動してよいかどうかは、ぜんぜん議論がなされていません。
「なにかしなければ」「対米関係のために」というのは、多分に情緒論であって、アフガニスタンへの自衛隊派遣は、日本の外交の理念・基本方針に関るとても大きな問題です。政府、自民・公明両党が、本当に対米協力が必要なら、憲法を改正するなり解釈を変更するなりして、集団的自衛権行使を認めてから行うべきだし、自衛権行使の範囲を拡大するというならそれはそれでしっかりとした議論と国民的コンセンサスを得る必要があるはずです。
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