消費喚起のための税制が必要なわけですが、消費支出を安定的に確保するためには、将来への不安を払拭する必要があります。
将来不安の最たるものは、年金制度です。特に2004年の年金制度改正で、保険料を15年間上げ続けると同時に、給付額を抑制するためのマクロ経済スライドが導入されました。さらに前提となっている合計特殊出生率が予想を下回るなど、年金制度への不安を払拭するどころか、ますます不安を煽る内容となってしまっています。
現行の年金制度は、賦課方式をとっています。賦課方式とは、保険料収入を積み立てることなく給付に充てる制度で、保険料収入が減れば、給付額も減ってゆくことになります。「年金は自己責任」と政府・与党はいいますが、未納者が増えることによって確実に給付額は下がります。自己責任にとどまらず、世代全体の問題になるのです。
給付水準を維持するために、一番最初に手を付けねばならないことは、皆が保険料を払う制度とすること。未納・未加入対策こそが給付水準維持のためにもっとも必要です。昨年起こった「免除偽装事件」に見られる通り、政府・与党の年金制度改正はその点が抜け落ちており、不十分と言わざるを得ません。
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