中塚一宏の「いっこうで行こう！」

会話こそ最高のコンテンツ

FacebookなどのＳＮＳを見ていて思うのは、圧倒的に食に関する投稿が多いということ。人間が一日三回、毎日やっても飽きないことは、食べること。

さて私は好き嫌いもなく、何を食べても美味しい人なので、もちろん食べることも面白いコンテンツだと思うけど、でも会話ほど面白いコンテンツはないと思う。

話しているうちに、会話にインスパイアされて、新しい考えが浮かんだりもする。ただ最近は、一杯やりながらだと、翌日忘れてしまっていることも多かったりして。歳かな。

アベノミクス考 その６

アメリカＦＲＢのＱＥ３終了をめぐって為替・株式相場は動揺。東京株式市場も金融相場と業績相場のせめぎ合い。もっとも、業績相場と言っても、工業株はほとんど為替に連動しているので、為替自体が金融相場化しているのだから、とどのつまりは、金融相場か。

私が尊敬する高橋是清は、昭和金融恐慌を見事な決断力と実行力で脱しました。リフレ政策です。そして出口を模索し実行しようとして、暗殺されました。

当時と今と、事情はかなり異なるけれど、出口戦略にはたいへんな困難がつきまとう。

閉塞感

最近、経済関係の講演の依頼が増えた。皆さん興味がおありなのだと思う。あまり政治の話はしないで経済一本。

そして講演後の懇親会では政治の話も。とある方から、「民主党には期待したんだけどね。でも何もできなかったね」とアベノミクスを引き合いに言われました。

その方は別にアベノミクスを支持しているわけはない（どちらかというと反対）のだけれど、政治というのは、政策の中身やその成否と同じくらいに、大切なことが他にもあるのがよく分かる。

日本を取り巻く閉塞感。これを打破して欲しいという思いは巷にあふれていることを今更ながら感じます。

アベノミクス考 ５

前回、「第三の矢（成長戦略）」こそ重要と書いたら、「成長戦略は不要なのではないか」とのご意見をメールでいただきました。

供給過剰でデフレになっているのだから、設備投資を促進する様な減税などはやるべきではないというご意見。現政権も設備投資減税を言っている。

確かに、供給を促進する様な設備投資は問題があるし、第一これだけ金利が低くて内部留保もあるのだから、企業が設備投資をするかどうかは疑問です。

私が言うところの成長戦略とは、「既存産業の活性化」ではなくて、「産業構造の転換」です。国際分業を見据えた上で、競争力のある分野に特化したり、産業全体をソフト化したり。

これが私のやりたかったこと。そしてやりたいこと。

アベノミクス考 その４

株価が上がるのは良いことです。

大切なことは、株価が上がり、景況感が改善しているうちに、いかに有効な成長戦略を打ち出し、実行できるかということ。日本経済低迷の本質はここにあるのだから。

内閣府の国民経済計算等を見ても、企業も家計も総じて貯蓄超過の状況にあって、上場企業も約半数が実質無借金経営。おカネがないから経済が活性化しないのではなくて、投資先をつくらねばなりません。

現政権の成長戦略も「新味がない」等と評判はイマイチだけど、テーマは出尽くしているのだから「新味がない」のは当たり前、あとは実行できるかどうか。自分自身の経験と反省からすると、これが一番たいへん。既得権益との闘いだから。

「バズーカ」 ＩＢＡ講演にて

６月１０日、国際銀行協会で講演させて頂きました。２０年間、政治の場から見た金融行政の変遷についてお話しさせて頂きました。

講演後、質疑応答タイム。「日本銀行の『２年で２％の物価安定目標』について、どのようなシナリオ持っているのだろうか。民間企業ならいくつかのシナリオを用意するのは当然だが」という趣旨の質問が。

もとより私が知る由もありませんが、「シナリオね。ないんじゃないですか。だって『バズーカ』だから」。打ったら飛んで行くだけ、連射することは想定していないんじゃないか、という意味。会場爆笑。

もちろんジョークです。きちんとしたシナリオがあることを信じたい。

「政治家として必要な資質とは・・・」

ひじょうにボラティリティの高い株式、為替相場。「どうなりますかね」と聞かれることもしばしば。

相場格言には「相場のことは相場に聞け」という。私も当然、予想はしないし、現職の政治家や閣僚であれば尚更のことだろうと思う。

特に閣僚の場合、余計な一言が相場を動かす材料になることだってある。誰のこととは言いませんが。

そこでチャーチルのこんな言葉を思い出しました。「政治家として必要な資質とは、未来を予見する能力と、なぜそうならなかったかを説明する能力である」。

国際銀行協会（ＩＢＡ）にて講演します。

来る６月１０日、国際銀行協会（ＩＢＡ）にて講演します。

日経平均、為替とも、エラいタイミングでの講演になってしまいましたが、金融担当大臣としては、日本銀行による金融政策は所管外でしたが、同じかそれ以上に、金融仲介機能は大切だと思ってます。また直接金融市場も大切。

会員限定ですが、動画を撮って頂けるそうなので、後日公開します。

 

アベノミクス考 その３

大手行が２ヶ月連続で住宅ローンの金利引き上げ。最近の長期金利上昇を受けたもの。住宅ローンだけではなく、企業への貸出金利も上昇傾向。それに加えて、金利上昇による調達コスト増を嫌って社債発行を見送る企業も出てきたとか。

日本銀行は長期国債の保有残高が年間５０兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとしており、これは長期金利の低下要因。一方で、「消費者物価の前年比上昇率 2％の「物価安定の目標」を、２年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現」と言っているのだから、長期金利が上昇するのはある意味当たり前。インフレ期待は長期金利を高くするから。

大切なことは、やはり実体経済がどうなるか。今のところ、アベノミクスは金融政策面からのアプローチが主になっているけれど、実体経済が回復してこないとやはり暮らしは良くならないし、それどころか実体経済に悪影響を与えかねない。