御前様自身、人でも動物でもモノでも集めるのが大好きな方だった。
まずは学生。私のような学生が、プレハブ小屋を建てていただいて、いつもたむろをしていた。そして次に動物。御前様は特に犬、鳥、鯉がお好きで、赤山禅院の各お堂には、犬が一匹ずつ繋いであった。雑種がほとんどだったが、一匹だけ見事なチャウチャウがいた。名前は「愛美」、台湾の政府高官から贈られたのだそうだ。よくできた犬(?)で、御前様が山門をくぐったら姿が見えなくても甘え鳴きをする。誰がご主人様か良く分かっていて、「愛美」は、御前様にしか尻尾を振らない犬であった。鳥は、京都ではめずらしいおしどりが、池に200羽ほど集まり、越冬していた。赤山禅院にある池は、もともと農業用の灌漑用水池だったのだが、これだけたくさんのおしどりが飛来し、越冬をするのは専門家からしてもおどろきだという。おしどりは人にはあまり馴れないと聞いていたが、御前様が呼ぶと寄ってくる。
平安時代の陰陽師は、いろいろな動物や神を、自らの使いとしたとされている。御前様は、回峰行中、比叡山でサルやクマの餌付けもしたそうだ。行者とは動物と話ができる人なのではないか、そう感じた。
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