中塚一宏の「いっこうで行こう！」

財政破綻は金融面から起こる

国は借金しようと思えば、いくらでも国債を発行できる。そもそも国債の担保は徴税権以外にはありません。すなわち将来借金が返せるかどうかは税収が得られるかどうかによるのです。

でも国債はいくら発行できても、買ってくれる人がいなくなってしまえば、オシマイ。価格は下がるし、利息は上がります。そしてそれは突然やってくる。

マーケット関係者の話によれば、「債券の売買なんて出会い頭です。急に金利が上がった時にそれを押さえ込めなければそこから金利がポンと上昇することだってあり得ます」

政府も市場と対話しなければならない時代に入りました。

政治的リーダーシップと運営能力の違い

三人よれば文殊の知恵という。衆知を集めることの大切さですが、最近つくづく思うのは、政治におけるリーダーシップと組織を運営する能力の違いです。

というか、この二つは別物といっても良い。個人個人では、政治家として立派な見識を政策を持っていると思える人でさえ、組織を動かせない。

政治主導になっていない部分もありつつ、一方で政治主導にはなっているものの、組織のマネージメントができていない部分もある。ここらあたりが今の政権の問題だと思う。

終盤国会

ゴールデンウィークも終わり。衆議院は明後日の火曜日から本格始動。しかし会期末まであと一ヶ月ちょっとしかありません。私の所属する委員会でもまだ審議しなければならない法案が残ってます。またこれから提出される法案もある。日程は非常にタイトです。もちろん全法案の会期内成立を目指して努力しなければなりません。

参議院選挙公約づくりもいよいよ佳境。選挙の投票日も会期通りに終わるなら７月１１日なわけで、投票日まであと２ヶ月となりました。

７月１２日にはぶっ倒れるつもりでスパートをかけます。

民主党も捨てたもんじゃない

という訳で、二日間にわたった自治体議員フォーラムは終了。二日目の午後は、自治体議員政策懇談会の世話人会も開催され、参議院選挙マニフェスト企画委員会に、自治体議員の皆さんの提言も手交しました。党所属自治体議員全員にアンケートをとるという、初めての、そして一番民主党らしい試みです。

客観的には民主党への風当たりが非常に厳しい中、自治体議員の皆さんも言いたいことはいっぱいあったと思うけれど、ひたすらどうすれば民主党が良くなるかだけを議論した二日間。分科会も、「議会改革とローカルマニフェスト」の方が圧倒的に参加者が多く、政策の研鑽を大切に思う議員さんの多さに感銘を受けました。

民主党は裾野が広い。これだけ真面目な自治体議員さんがいてくれる。民主党は捨てたもんじゃありません。組織委員長代理をして本当に良かったと思いました。

地方政治の二元代表制

地方自治体議員フォーラム二日目は分科会。昨年末から始まった分権型陳情改革に関する会議と、今ひとつは、私が担当するローカルマニフェストと議会制度改革の分科会。

ローカルマニフェストの先進事例として、京都府議会と岩手県議会に報告をいただいた後、早稲田大学マニフェスト研究会の中村健さんと、名古屋大学の後房雄教授に問題提起をいただきました。

とても刺激的な問題提起で、現在の地方政治の二元代表制（首長と議会が各々直接選挙で選ばれる）で良いのか、というもの。日本の地方自治は、一見するとアメリカの大統領制度のようになっていますが、決定的に違うのは、議会には予算提案権もなければ、人事権もないし、執行権もないということ。これでは、真面目にやればやるだけ空しくなるのでは、というのが問題提起。そこで地方自治にも議院内閣制のようなものを構築しては、という考え方や、首長に議案提出権を認めない、という考え方で地方政治を活性化してはどうかという提言。

地方自治法の改正が必要なので、国会の立場で意見を求められた私は、「議員さんの立場からすれば、政治のやりがいということに直結するし、市民の立場からすれば、分かりやすさということがポイントではないか。」とコメント。少なくとも「地方議会や地方議員なんかいらない」という意見にしっかりと応えられないといけません。

２０１０年度 民主党地方自治体議員フォーラム 全国研修会・総会

全国から６００名近くの自治体議員の皆さんに一堂に会していただき、全国研修会・総会。

冒頭、鳩山総理の挨拶。「生きてますよ！」という第一声には驚きましたが、地域主権改革は、鳩山内閣の「１丁目１番地」なんだそうで、総理の挨拶も熱が入ります。そして１丁目１番地の真ん中が「新しい公共」。

地域主権改革は凄まじい勢いで進行中。ただしその地域主権改革で、住民・市民の皆さんの生活が、どのように変わるか・良くなるかを伝えていただくのは、国会議員ではなくて、自治体議員の皆さん。総理、総務大臣、官房副長官が講演。夕刻の懇親会には幹事長、そして官房長官も参加。民主党本部としても、フルキャストで臨む研修会です。

できることから

ゴールデンウィークも終わり。鳩山総理は昨日沖縄へ。個人的にはもっと早く沖縄入りしてもよかったのではないか、そう思いました。

民主党政権にとって今必要なこと、それはできることからしっかりきっちりやるということだと思う。普天間問題ももちろん大切ですが、例えば衆議院議員の定数削減なら、今すぐにでも実現できる。民主党が衆議院で多数だし、参議院においてもこのご時世に、反対することはなかなか難しいだろうから、反対する会派はそういないはず。できることから実績を積み上げて、信頼を取り戻すことです。

明日からは国会が再開されます。今こそ政務三役には本当の政治主導を発揮していただきたいものです。

年金と生活保護の逆転現象解消を

消費税方式の年金制度を実施するためには、解決しなければならない課題もたくさんあります。

例えば、消費税の免税事業者の問題や、簡易課税制度など。いわゆる益税をどうするか。そして、生活保護とのバランスの問題です。

特に年金支給額と生活保護支給額との関係については、現行制度においても解決しなければならない課題ですが、保険料に代えて消費税で年金をまかなうことになれば、同じ税で措置している生活保護との関係は整理しなければなりませんし、年金額よりも生活保護支給額の方が多いのは極めて問題です。

ともあれ、メリットの方がはるかに多い。財源として安定し、皆が払うことによって皆がもらえる。消費税の議論は年金とセットで論じれば、きっと理解を得られるはずです。

消費税方式による年金制度で無年金者を根絶

消費税方式による新年金制度は、中堅・低所得者ほど恩恵が大きいわけですが、それだけではありません。

消費税は誰もが払う税金ですから、これにより無年金者がなくなります。つまり、皆が保険料を払っているわけですから、皆が年金を受け取ることができる。今現在年金を受給されている方には、消費税の年間支払相当額を戻し税にすればよい。こうすれば、保険料の二重取りも回避できます。

また同時に保険料徴収にかけているコストもゼロになります。制度自体が分かりやすくなるし行政改革にもなるのです。

逆進性緩和の具体例

月１５１００円の保険料は、年間だと１８１２００円。これを消費税で払うとすると、３パーセントの税率で、６００万円の買い物をする必要があります。５パーセントの税率でも３６０万円ほど。年間３６０万円消費しようとしたら、少なくとも５００万円くらいは収入があるはずですから、独身の人なら、年収５００万円程度の場合、保険料をやめて消費税方式にした方が負担は軽くなります。

夫婦二人だとその倍、年収１０００万円くらいまでは消費税の方が負担が軽い。ということは、保険料をやめて消費税方式にすることで、大多数の人が、今より負担が軽くなるのです。

高額所得者が、その分負担してくれるからです。消費税を増税しても、目的税化することによって保険料の負担が軽くなれば、差し引きでは大多数の人が楽になる。これは消費税方式の利点の一つです。