小泉純一郎氏は、政治手法においては小選挙区制度にいち早く適合したわけだが、政策的には派閥次元の発想にとらわれていたままであった。
小泉氏の金看板であった「道路公団民営化」「郵政民営化」はいずれも田中派・竹下派・橋本派の牙城であった分野である。これらの旧田中派の権力の源泉であった道路利権、郵政利権を解体し、清和会(森派、現町村派、小泉氏の出身派閥)のものとすることに全力が注がれた。財政政策にしても、福田赳夫氏譲りの財政均衡を踏襲、国債発行枠30兆円を設定したのも福田氏の流れを汲むものである。道路特定財源の一般財源化がわかりやすいが、揮発油税等を道路建設に使うのは田中角栄氏が創設したアイデアである。もちろん今の時代にはそぐわなくなっており、一般財源化自体は行うべきなのだが、暫定税率とされた上乗せ部分の税率については廃止し、税率を下げるべきであるにもかかわらず、そうはしない。財政均衡が念頭にあるからで、結果一般財源化といっても、財政健全化のために使用するのか、再び道路建設をはじめとする公共事業財源とするのか、よく分からない制度になってしまった。
とどのつまりが、「自民党をぶっ壊す」と叫んだのは、旧田中派の影響力を排除し、「旧田中派」的なものを排除するということが、小泉氏の立脚点であったのだ。
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