派閥政治こそが自民党の活力の源であった。自民党内で出世し派閥の長となって総理大臣を目指すためには特殊な才能が要求される。政策通であることよりも、カネ集めに長け、多くの議員の面倒を良く見るといった面ばかりが強要されるようになった。
また実際の選挙戦も、政策論争が行われることは殆どと言ってよいほどなかった。同じ政党から複数の候補者が立候補する中選挙区制度においては当然のことながら、同じ政党なのだから候補者間に政策の違いがそれ程あるわけではない。選挙戦や政治家の日常活動は、政策論争よりもサービス合戦が中心となる。
派閥が議員の数を増やすためには莫大なカネが必要となる。そのカネを無理して調達するために、政治とカネのスキャンダルも相次いで起こることとなった。リクルート事件、東京佐川急便事件などを契機に、政治改革の気運が高まった。
中選挙区の派閥依存型選挙では、政策論争が起きない。政治家が政策論争を通じてリーダーシップを発揮できる体制をつくらなければ、激動する時代に対応することが出来ない。政党本位、政策本位の選挙・政治を行うために衆議院に導入されたのが小選挙区制度である。
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