かつて自由民主党は派閥の連合体であった。「三角大福中」と言われた、田中派、福田派、大平派、中曽根派、三木派の五大派閥時代が長く続いていた。田中角栄氏が言ったとされる「なぜ自民党には派閥が五つしかないのか。それは中選挙区の最大定数が五だからだ」。
同じ政党から複数の候補者が立候補する制度が中選挙区制度。複数名擁立して過半数を制しないと与党にはなれない。同じ政党から複数名が立候補する以上、所属政党はあまり選挙の際に重要な意味をなさない。それよりもいかに自民党の支持者を取り合うかが問題となる。実際選挙の際には政党ビラ(政党の政策をアピールするビラ)が選挙事務所に送付されてくるが、封も切らずに置きっぱなしになっていることが多かった。自民党のビラを配っても、自分の票は増えない。自分自身をPRしなければ当選はおぼつかないからだ。だからこそ政党の支援もさることながら、それ以上に派閥の支援が大きな意味を持つ。こうして醸成されていったのが自民党の派閥政治である。
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