安部内閣は集団的自衛権行使の検討を開始しました。
集団的自衛権についての現行政府の解釈は、1981年5月29日の答弁書が基礎になっています。「国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されてもいないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされている。わが国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。」つまり集団的自衛権は「国際法上保有、憲法上行使不可」ということだが、憲法上、保有しているか否かには言及していません。「保有の有無」と「行使の可否」という本来、別次元の問題を同一次元にしているわけで、非常に乱暴な理屈であると言わざるを得ません。
この解釈は政府自身が考えだしたものではなく内閣法制局という官僚機構が生み出したものですが、集団的自衛権を否定する憲法上の根拠が存在しないということにもなります。そもそも自衛権を個別的・集団的と分別するようになったのは、国連憲章制定以降のことです。自衛権には本来区別など存在しないのです。
だから問題は、「使えるかどうか」ではなく「どのような時に使うか」をしっかりと議論するべきなのです。
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