「日本の選挙」(加藤秀治郎著、中公新書)を久しぶりに読み返しました。
挨拶回りなどをしていると、「中選挙区の方が良かった」とおっしゃる方も幾人かいらっしゃいます。その趣旨は、中選挙区の方が候補者の選択肢が多いということでもあり、また複数人当選するという安心感・裏を返せば小選挙区のように白黒はっきりつける選挙制度ではない方がよい、という方が多いようです。
本書は、日本をはじめとする世界の選挙制度について詳しい解説がなされています。各々の選挙制度には、政治に対する思想・哲学がその背景にあり、選挙制度自体が政治に及ぼす影響についても論じられています。
哲学者オルテガは、「選挙制度が適切ならなにもかもうまくゆく」と喝破したそうで、選挙制度はある意味で政治そのもの。「どんな制度にも一長一短ある」などという単純な議論ではなく、「何のために何をするのか」といった極めて論理的な思考法により無原則な日本の選挙制度そして日本の政治をただす助けとなる秀著です。
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