謹啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げる次第でございます。
さて、私はこの度行われる総選挙に、立候補しないことを決断いたしました。十八日締め切りの公認申請を自らの意思で行いませんでした。離党をするとか、他党に移るとかいうことではありません。立候補を辞退するということです。
一昨年の衆議院選挙において、多くの皆様にご支援をいただいたにもかかわらず結果を出すことができず、反省の日々を送っておりましたが、そんな私に、金融関連会社、自然・再生可能エネルギー関連会社等数社がお声がけ下さり、取締役や顧問を務めさせていただくことになりました。小さいながらも自分で会社を立ち上げ、自然・再生可能エネルギーのコンサルタントもスタートさせました。
突然の総選挙を受けてたいへん迷いました。私のできること、やらなければならないこと、やりたいこと。
私のやりたいこと、それは、二十一世紀も豊かさを享受できるよう日本を金融立国とすること、福島第一原発事故に鑑みて自然・再生可能エネルギーを普及させること、この二つです。世の中を変えるのは政治の役割ですが、経済が世の中を変えてゆくこともあります。「立候補しないで引き続き会社に残ってはどうか」とのお話を下さった企業もあります。今は国会に戻るよりも、実業の世界・経済の現場で世の中を変える努力をしてゆきたいという思いに立ち至りました。
幼い頃に父を亡くし母子家庭で育った徒手空拳の私ですが、ご支援をいただいた皆様のおかげで衆議院議員を務めることができました。
ご支援をいただいた皆様のおかげで政権交代を成し遂げることができました。
ご支援をいただいた皆様のおかげで国務大臣を拝命することができました。
大臣まで務めさせていただいたからこそ、多くの企業からお声をかけていただいているのであって、今の私があるのは、すべてご支援をいただいた皆様のおかげです。心から感謝と御礼を申し上げます。
今回の総選挙には立候補しませんが、政治活動は続けてまいります。特に細川護煕、小泉純一郎両元首相と立ち上げた「自然エネルギー推進会議」においては、自然・再生可能エネルギーの普及・啓発に一層の力を込めてまいります。政治の場に戻る必要があると感じる時まで、経済の現場で研鑽を積んで参りたいと思います。
今の政治状況を見ると、政権に対峙して選択肢を示さなければならないはずの野党が細分化しているのは残念なことです。政治は国家国民のためにあります。小異を残しても大道について、国民のために切磋琢磨できる政治になることを心より期待しています。私のこの度の決断が一石を投じることになれば、幸いこれにすぐるものはありません。
決断したとはいうものの、ご支援・ご期待をいただいてきた皆様に想いを馳せるとき、心は千々に乱れます。ご海容の程、伏してお願い申し上げます。
政治から経済へと活動の場は移りますが、これからも日本のため、世界のため、次の世代のために一生懸命努力をいたして参りますので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜れれば幸甚と存じます。
本来であれば、お一人お一人に拝眉の上お伝えすべきことと存じますが、それは追ってさせていただくとして、まずは取り急ぎ書中にて失礼いたします。
これからますます寒くなりますが、ご多用中のお身体、くれぐれもご自愛ください。なお一層のご健勝とご多幸を祈念いたしましてご挨拶とさせていただきます。
謹白
平成二十六年十一月
中塚一宏
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