ムチャクチャなのは車の運転もそうだった。車の運転はお好きで、ハンドルを自分で握ることも多かったが、いつも車間距離ゼロで走る。助手席に乗せてもらった時には私はいつも固く目を閉じていた。新年に、比叡山の高僧が一堂に会する日があるが、その時は自分で運転せずに小増さんに運転をさせる。赤山禅院から延暦寺の根本中堂までは、京都白川から「山中越え」と言われる片側一車線の山道を走ってゆくのだが、前に車が走っているとどんなに見通しが悪くても、とにかく「追い越せ」だそうだ。「対向車があると危険です」というと「対向車は来ない。抜け」。笑えない笑い話だが、普通の人は決してまねをしないように。
普段バカ話をしている時には、とてもアットホームな感じなのだが、法事や御勤めの朝などは、近寄りがたい気につつまれる。並ではない集中力とここ一番の勝負強さは確かに生死をかけた修行の故かもしれない。
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